前回の「身体を守るために音を減らす・音を捨てる」につづいて、
今回はなぜ、「身体を守るために音を減らす・音を捨てるか?」について、私の考えを紹介します。
人生は4000週間。あなたはどう過ごす?
「人生は4000週時間。あたなはどう過ごす?」
これは本「限りある時間の使い方」(オリバー・バークマン)の帯に書かれています。
どうしも手元におきたい楽譜たち
実は今年の6月に引っ越しました。。
このときに、衣類やアルバム写真や家具など、かなり処分しました。
音楽系のものCDコンポ。マイク、アンプ、など。
どうしても処分できない楽譜があります。
過去に演奏したことのある楽譜。
いつか弾いてみたい楽譜。
決して弾くことがないであろう曲。
洋服ももう二度と着ることのない、とわかっていても、
クローゼットにつり下げたまま・・。
楽譜も洋服のようなものなんだな・・・。
このときに、人生は4000週時間あなたはどう過ごす?
を思い出しました。
そうか、私の人生はそんなに時間はなかった!
考えてみたら、60代に入ったころから、急に環境が変わり始めました。
- 親が倒れた
- 親が亡くなった
- 同級生が亡くなった
実際に私のギター仲間も一人が抜け、二人が抜けて・・・
旅行仲間も足が痛くて歩けない、腰が痛い、膝が痛い、
夫の介護のために出かけられない、そんな人が増えました。
私も最近は老眼で楽譜を見るのも疲れる
ギターが重く感じられるようなった
そして、何をやるにしても時間がかかるようになった。
すると一日は24時間から
・睡眠
・食事・身の回り
・家事、買い物
・庭いじり
・テレビ
・パソコン
・ウオーキング
・ギターを弾く
これらを引くとどれだけの時間が残るだろうか?
60歳~70歳代~いつまでギターを弾いていられるだろう?
認知症になったらギターが弾けるかな?
まさか、指がギターを忘れたとか、それはないでしょう。
もし、施設に入るようになったらギターは持っていけるのかな・・・。
いや、音を出してはいけないので個室でないとダメだろうな・・。
個室に入るほどおカネがないしな~
そうすると、ギターを弾ける時間は限られてくる。
卒業したのでその曲はひきません。
今から20年前。
私が三番目にギターを習ったS先生に
「スペイン舞曲5番を弾いてくだい」
といったことがあります。
s先生は「スペイン舞曲5番」で賞をとっています。
「ぼくはその曲は卒業したのでもう弾かない、人生の時間がない」
と答えました。
今、思えば、
時間をムダにしないために、体力をムダに使わないために
過去の曲は弾かない、という意味だったと思います。
s先生はそのころまだ40半ば。
先日、テレビである女優さんが、
「サラリーマンだって定年があるのね。女優の仕事も定年あると思って、ここで、やめるか、それとも続けるなら、新しい自分の役作りをしていかなければならない・・。過去の役は卒業します」と。
卒業・・・。
いいことばだなあ・・・。
そうだ、「身体を守るために音を減らす・音を捨てる」楽譜たちと卒業しよう。
話が変わりますが、補聴器をつけている友人が
「あなたはいいわね。補聴器はひとつ20万円よ」と。
すると歯が一本だって財産だと思えてくる。
歯だって素材によって数万円もする。
こうして考えると
今、ギターが弾けるよろこびと身体に感謝。
身体を守るために音を捨てる。
執着を持たない。
これ以上腰をいためない!
耳が聞こえるだだけでもすごいことなんだ。
ギターの音を出せる自分の身体を大事にしょう!
50代、60代からギターを始めるとしたら、大切にしたいことを書きました。